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木を握る、
九人の手。THE MASTER & EIGHT CARPENTERS

棟梁一人、一級建築大工技能士七名、見習い二名。少ない頭数で、一棟一棟に深く入ります。年三〇棟までを上限とするのは、この人数で手刻みを貫くためです。

棟梁 · 四代目 · 享年五十九
FOURTH GENERATION · 四代目棟梁
木は、生きている。
だから、対話する。
棟梁
佐久間 吉衛
SAKUMA YOSHIE · B.1967

一九六七年、松本生まれ。高校卒業と同時に、父である三代目・佐久間 吉蔵に弟子入り。若くから社寺の仕事に関わり、二八歳で一級建築大工技能士を取得。

「父は口数の少ない人でしたが、木の前に立つとまるで詩人のようでした。『この木はこっちに曲がりたがっているから、そう使ってやろう』と。木を自然の方向から無理に捻じ曲げない。わたしは、その流儀だけを引き継いだつもりです。」

二〇〇一年に四代目を襲名。以後、住宅を中心に年二〇〜三〇棟。「棟梁は、数を追う仕事ではありません。一棟に、全身で。」

資格 · 一級建築大工技能士(登録第○○○○○号)/一級建築士/ 伝統建築木工技能認定 / 松本平大工会 会長

LINEAGE · 系譜

七十年、四代。

一 · 1ST
佐久間 吉松
1892 — 1978

宮大工。伊勢の社寺普請で修業ののち、一九五六年、松本で「佐久間工務店」を起こす。諏訪・戸隠・善光寺別院の修繕に関わる。

二 · 2ND
佐久間 吉平
1924 — 2005

二代目。戦後の復興期、町家の再建と住宅への転身。社寺の技を、庶民の家に宿らせる道筋をつくる。

三 · 3RD
佐久間 吉蔵
1942 — 2022

三代目。「家を一つの生きものと見ろ」が口癖。県産材の使用にいち早く取り組み、国産材自然乾燥の現在の基礎を整える。

四 · 4TH
佐久間 吉衛
1967 —

現棟梁。二〇〇一年襲名。若い職人の育成と、顧客との長期の関係を軸に、工務店を「住まい継ぎの相談所」として再定義する。

THE EIGHT · 八人の手

棟梁を支える、職人衆。

七名の一級建築大工技能士と、二名の見習い。入職年は最長三五年、若い見習いで二年。手刻みは一人では絶対に完成しない仕事です。八人だからこそ、一棟の木組みが鳴ります。

N° 01 · 副棟梁
前田 茂
1ST GRADE · 入職 35年
墨付けと建前の采配。棟梁の右腕。
1965生松本
N° 02
三沢 哲郎
1ST GRADE · 入職 28年
継手仕口の名手。とくに渡り顎と金輪継ぎ。
1970生安曇野
N° 03
山田 敬司
1ST GRADE · 入職 22年
造作全般。建具と階段の仕事に定評。
1975生塩尻
N° 04
渡辺 広志
1ST GRADE · 入職 20年
屋根仕舞いと軒先。木曽檜の扱いに詳しい。
1978生木曽
N° 05
小林 一樹
1ST GRADE · 入職 16年
床板と天井の化粧。鉋の研ぎの名手。
1982生諏訪
N° 06
中村 翔
1ST GRADE · 入職 11年
古民家再生の経験が厚い。土壁との組合せ。
1987生伊那
N° 07
横田 直
1ST GRADE · 入職 9年
若手の筆頭。社寺の仕事にも入る。
1991生松本
N° 08 · 見習い
石井 潤
APPRENTICE · 2年
工業高校を卒業し直行。今は墨付けを学ぶ。
2003生白馬
TOOLS OF THE TRADE · 道具

道具は、
半分は自作です。

市販の道具を棟梁の身体に合わせて研ぎ、柄を換え、刃先を整える。鑿(のみ)と鉋(かんな)は、職人ごとに三〇挺以上。毎朝、仕事の前に研ぎます。

「刃先は、職人の心です。
鈍い刃で木は泣きます。」

鑿(のみ) CHISEL 仕口を彫る。寸六・寸二・八分・六分を基本に、特殊な仕口には自作の打ち鑿も。
鉋(かんな) PLANE 化粧仕上げの主役。削り屑の厚さ一〇ミクロン。台と刃の当たりを毎日調整する。
墨壺(すみつぼ) INK POT · LINE MARKER 墨打ち。棟梁のものは祖父からの継承。糸は絹、墨は油煙墨を自家調合。
手斧(ちょうな) ADZE 梁の「名栗仕上げ」に。機械では絶対に出せない鱗のような表情が生まれる。
鋸(のこ) SAW 縦挽き・横挽きを使い分ける。目立ては職人が自ら。
差し金(さしがね) CARPENTER'S SQUARE 図面から墨打ちへ。一寸二分の勾配も、この一本で。